図の説明:電子部品店のカウンターで、お客さんが7805と捺印された黒いTO-220チップを手に「7805の05って何ですか?」と尋ねます。赤いエプロンをつけた女性店員が笑顔で「出力電圧です。5Vが出ますよ!」と答えます。
電圧レギュレータは、入力された電圧を一定の電圧(5V・3.3V…)に下げて出力する部品です。7805・LM317・AMS1117のように名前は短いですが、品番の中に極性(+・−)、出力電圧、グレード(精度・温度)、パッケージが含まれており、表し方はメーカーごとに異なります。特に、足が3本で同じに見えてもピンの順番がシリーズごとに違うため、そのまま差し替えてはいけない場合が多くあります。
値はすべてST・TI・onsemi・AMS・Diodes・Microchip・Torexのデータシートで確認しました。品番をクリックすると、eGuroの部品検索で在庫を探せます。
78シリーズの品番は[メーカーの頭文字] + 78 + 電圧2桁 + グレード + パッケージ (+ 梱包)の順です。L7805CVは、ST・+電圧・5V・Cグレード・TO-220です。STのデータシートでは、Cグレードの5Vは25℃で4.8~5.2V、Aが付くAB・ACグレードは4.9~5.1Vです。AMS1117のようなLDOは品番の形が異なるため、7章と8章で別に見ていきます。
| シリーズ | 極性 | 出力電圧(ST品番表) |
|---|---|---|
| 78xx | +(正電圧) | 5 · 6 · 8 · 8.5 · 9 · 12 · 15 · 18 · 24V |
| 79xx | −(負電圧) | −5 · −8 · −12 · −15V |
78は+電圧、79は−電圧を作る固定型です。後ろの2桁が出力電圧なので、7805 = 5V、7812 = 12V、7905 = −5Vです。例外として、ST L7885CVの85は85Vではなく8.5Vです。TI UA78Lも、06は6Vではなく6.2V、02は2.6Vとデータシートに記載されています — 2桁が正確な電圧ではない場合もあるので、データシートで確認してください。
| シリーズ | 出力電流 | 代表的なパッケージ |
|---|---|---|
| 78Lxx | 100mA | TO-92 · SO-8 · SOT-89 |
| 78Mxx | 0.5A | DPAK · TO-220 · IPAK |
| 78xx | 1.5A | TO-220 · D²PAK · DPAK |
L78L05ACZは100mAの小さなTO-92、L78M05CDT-TRは0.5AのDPAKです。TIの100mAシリーズの名前はUA78Lです(UA78L05ACLPR)。同じ7805でも、メーカーによって定格電流の表記が異なります — ST L78・TI LM340は1.5A、onsemi MC7800は1.0Aと記載しています。
| メーカー・シリーズ | Cグレード | その他のグレード |
|---|---|---|
| ST L78 (7805) | ±4% · 0~125℃ | AC ±2% 0~125℃ · AB ±2% −40~125℃ |
| ST L78M · L79 | 0~150℃ | AC 0~125℃(L78MはAB −40~125℃) |
| onsemi MC78xx | ±4% · 0~125℃ | AC ±2% · B ±4% −40~125℃ · AB ±2% −40~125℃ |
| TI UA78L | 0~125℃ | AC 0~125℃ · AI −40~125℃ |
Aが付くと出力電圧がより精密になり(ほとんどが±2%)、BやAB・AIのような−40℃グレードは寒い場所でも使えます。ただし、文字の意味はメーカーごとに異なります。onsemi MC7805BTGのBは、より精密なグレードではなく温度範囲だけが広いグレードで、25℃での電圧範囲はCと同じ4.8~5.2Vです。同じCでも、ST L78は0~125℃、ST L78M・L79は0~150℃です。温度はチップ内部の温度(接合部温度)基準です。
| パッケージ | ST | onsemi | TI |
|---|---|---|---|
| TO-220 | V | T | T (LM7805CT) |
| D²PAK (TO-263) | D2T | D2T | S (LM7805S) |
| DPAK (TO-252) | DT | DT | DT (LM1117DT) |
| SOT-223 | S (LD1117S) | — | MP (LM1117MP) |
| TO-220FP(絶縁型) | P | — | — |
| TO-92 | Z (L78L) | — | LP (UA78L) |
STではVがTO-220、D2TがD²PAK、DTがDPAK、PがTO-220FPです。ST品番末尾の-DG(L7812CV-DG)は鉛フリーの表示ではなく、TO-220 dual gauge(厚さの異なる金属フレーム)という意味です。反対に、onsemi品番末尾のG(MC7805CTG)はPb-free(鉛フリー)の表示です。onsemiのR4・RKはリール梱包です(MC7805ABD2TR4G = D²PAK 800個リール、MC7805BDTRKG = DPAK 2,500個リール)。パッケージのサイズは「部品パッケージ名まとめ」の記事にあります。
https://eguro.kr/ja/board/view.html?b=library&id=59
LM317は電圧が決まっておらず、抵抗2本で1.25~37Vの間で出力電圧を設定する可変型です(TIデータシート、最大1.5A)。そのため品番に電圧の数字がなく、3本の足のうち1本がGNDではなくADJ(調整)ピンです。基準電圧は25℃で1.25Vです。
| TI品番 | パッケージ | 梱包・ステータス |
|---|---|---|
| LM317DCYR | SOT-223 (DCY) | 2,500個リール |
| LM317KTTR | TO-263 (KTT) | 500個リール |
| LM317KCSE3 | TO-220 (KCS) | 50個チューブ・NRND |
TIはLM317ではKCS・KTT・DCYのようなパッケージ記号を品番の中に入れます。TO-220 (KCS)はデータシートの付録にNRND(新規設計には非推奨)と記載されています。次の章の1117シリーズにも、このような可変型があります。
LDO(Low Dropout)は、入力と出力の電圧差が小さくても動作するレギュレータです。7805は1Aで約2Vの差(ドロップアウト電圧)が必要なため、5Vを作るには7V程度を入力しなければなりませんが、1117シリーズは800mAで約1.1~1.2V、8章のAP2112-3.3は600mAで約0.25Vあれば足ります(いずれもデータシートのtyp値)。
| メーカー | 3.3V SOT-223 品番 | 最大電流 |
|---|---|---|
| AMS | AMS1117-3.3 | 1A |
| TI | LM1117MPX-3.3 | 800mA |
| ST | LD1117S33TR | 800mA |
3社とも1117ですが、最大電流(1A・800mA)と最大入力電圧(AMS1117 15V、LM1117 推奨15V・絶対最大20V)が異なります。名前が同じでも、仕様まで同じとは限りません。
| メーカー・部品 | 3.3V表記 | 品番例 |
|---|---|---|
| AMS · AMS1117 | -3.3 | AMS1117-3.3 |
| TI · LM1117 | -3.3 | LM1117MPX-3.3 |
| Diodes · AP2112 | -3.3 | AP2112K-3.3TRG1 |
| ST · LD1117 | 33 | LD1117S33TR |
| Torex · XC6206 | 33 + 精度 2 | XC6206P332MR-G |
| Microchip · MCP1700 | 330 + 誤差 2 | MCP1700T-3302E/TT |
小型LDOは入力電圧が低めです — AP2112・MCP1700は最大6.0Vで動作(絶対最大6.5V)、XC6206は6.0Vまでなので、12Vを直接入力してはいけません。MCP1700品番の2は2%ですが、データシートの−40~125℃全範囲での精度は±3%です。
| シリーズ・パッケージ | 1 · 2 · 3 | タブ(放熱板) |
|---|---|---|
| 78xx TO-220 | IN · GND · OUT | GND |
| 79xx TO-220 | GND · IN · OUT | IN |
| LM317 TO-220 | ADJ · OUT · IN | OUT |
| 1117 SOT-223 | GND/ADJ · OUT · IN | OUT |
| 78L05 TO-92 | OUT · GND · IN | — |
| MCP1700 · XC6206 SOT-23 | GND · OUT · IN | — |
| MCP1700 · XC6206 SOT-89 | GND · IN · OUT | — |
足が3本でもピンの順番はシリーズごとに異なります。7805の位置にLM317やAMS1117をそのまま挿すと、入力と出力が入れ替わります。タブ(放熱板側の金属)も、7805はGND、7905はIN、LM317・1117はOUTにつながっているため、複数個を1枚の放熱板に取り付けるときは絶縁が必要になる場合があります。同じ78シリーズでも78L05 TO-92はOUT・GND・INで7805 TO-220とは逆になり、同じメーカーのLDOでもSOT-23とSOT-89ではIN・OUTの位置が入れ替わります。Diodes AP2112のSOT-89-5は、同じパッケージでもR5とR5AでENピンの位置が異なります。
図の説明:お客さんが7805を外した基板の位置にAMS1117を挿そうとしながら「どっちも足が3本だから、そのまま挿せばいいですよね?」と尋ねます。女性店員が手のひらを差し出して止めながら「ピンの順番が違います!7805はIN・GND・OUT、1117はGND・OUT・INです。」と答えます。
| 注文品番 | 上面の捺印 | メーカー |
|---|---|---|
| LM7805CT | LM340T5 / 7805 | TI |
| LM317DCYR | L3 | TI |
| LM1117MPX-3.3 | N05A | TI |
| AP2112K-3.3TRG1 | G3P | Diodes |
| L78L05ACZ | L78L05A | ST |
| UA78L05ACLPR | 78L05AC | TI |
大きなTO-220には品番に近い文字が捺印されますが、TIでLM7805CTを買っても、本体にはLM340T5 7805と捺印されています(TI付録のPart marking)。SOT-223・SOT-23のような小さなチップにはN05A・G3P・L3のような短いコードしか捺印されないため、そのメーカーのデータシートにある捺印コード表で調べる必要があります。Microchip MCP1700 SOT-23は先頭2文字のCSが3.3V、Torex XC6206 SOT-23は6・6・2 + ロット文字が3.3Vです。
| 品番 | メーカー | 出力 | パッケージ |
|---|---|---|---|
| L7805CV | ST | +5V · 1.5A | TO-220 |
| L7905CV | ST | −5V · 1.5A | TO-220 |
| MC7805CTG | onsemi | +5V · 1A | TO-220 |
| L78L05ACZ | ST | +5V · 100mA | TO-92 |
| LM317DCYR | TI | 1.25~37V 可変 | SOT-223 |
| AMS1117-3.3 | AMS | 3.3V · 1A | SOT-223 |
| LD1117S33TR | ST | 3.3V · 800mA | SOT-223 |
| AP2112K-3.3TRG1 | Diodes | 3.3V · 600mA | SOT-25 |
| MCP1700T-3302E/TT | Microchip | 3.3V · 250mA | SOT-23 |
すべて各社データシートの注文情報をもとに読み解きました。電流はデータシートに記載された定格(最大)値で、実際に流せる電流は放熱や入出力の電圧差によって小さくなります。
資料:ST L78(DS0422)・L78L(DS0424)・L78M(DS0425)・L79(DS0428)・LD1117、TI LM340(SNOSBT0L)・UA78L(SLVS010X)・LM317(SLVS044Z)・LM1117(SNOS412Q)、onsemi MC7800/D、Advanced Monolithic Systems AMS1117、Diodes AP2112(DS39724)、Microchip MCP1700(DS20001826E)、Torex XC6206(ETR03005) データシート。グレード・パッケージ・捺印はメーカーや製品によって異なる場合があるため、実際に注文する前に該当するデータシートで確認してください。
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