水晶振動子・発振器の表示の読み方 — 16.000MHz・ppm・負荷容量(CL)、ABM8・ASFL1の品番

管理者・2026.10.24

2本足の水晶振動子と4パッドの発振器を手に、差し替えてもよいかと尋ねるお客様と、発振器は電源が入るチップだと答える女性店員

図の説明:電子部品店のカウンターで、お客様が片手に2本足の銀色の水晶振動子(16.000)を、もう片方の手に底面にパッドが4つある四角い発振器(16.000)を持ち、「どちらも16MHzだから差し替えてもいいですよね?」と尋ねています。赤いエプロンの女性店員が発振器を指さして首を横に振り、「発振器は電源が入るチップですよ!足の数も違います。」と答えています。

水晶振動子(クリスタル)と水晶発振器(クロック発振器)は、どちらも本体に16.000のように周波数が印字されているため、同じ部品に見えます。しかし水晶振動子はマイコンの発振回路に接続して使う2端子部品で、発振器は電源を入れると自らクロックを出力するチップです。注文品番には周波数のほかにppm(誤差)・負荷容量・温度などの文字が付きます。

値はすべてAbraconのデータシート(ABM8・ABM3・ABLS・AB26T・ASFL1・ASCO)で確認しました。品番をクリックすると、eGuroの部品検索で在庫を探せます。

目次
1. 水晶振動子と発振器は別の部品
2. 本体の表示 — 16.000はMHz
3. ppm — 周波数許容偏差と周波数安定度
4. 負荷容量(CL) — 水晶振動子のみ
5. 水晶振動子の品番(ABM8)
6. 発振器の品番(ASFL1)
7. サイズと形状
8. いちばん紛らわしい落とし穴
9. 代替するときの確認事項

1. 水晶振動子と発振器は別の部品

水晶振動子は2本足で電源がなく負荷容量が必要、発振器は4パッド(1 Tri-state、2 GND、3 Output、4 Vdd)で3.3V電源

水晶振動子水晶発振器
役割マイコンの発振回路に接続して振動自らクロック信号を出力
電源なしあり(ASFL1:2.97~3.63V)
端子2つ(周波数端子)4つ:Tri-state・GND・Output・Vdd
注文時に必ず見る項目負荷容量(CL)電源電圧・出力

Abracon ASFL1発振器には、1番Tri-state(停止)、2番GND、3番出力、4番電源(Vdd)のパッドがあり、3.3Vで動作します。水晶振動子の位置に発振器をそのまま実装したり、その逆に置き換えたりすると、回路は動作しません。周波数が同じでも互いに代替できない部品です。

2. 本体の表示 — 16.000はMHz

表示例意味
16.00016.000MHz — 小数点以下3桁まで印字されることが多い
14.3181814.31818MHz(ABLS・ASFL1データシートの周波数例)
32.76832.768kHz — 時計用(AB26T)、単位はkHz

本体の数字はふつうMHz単位の周波数です。ただし時計・RTC用の32.768はkHzなので、単位を取り違えないようにしてください。本体に印字されるメーカー表示や日付コードはメーカーごとに異なるため、正確な品番は梱包ラベルやそのメーカーのデータシートで確認します。

3. ppm — 周波数許容偏差と周波数安定度

水晶振動子・発振器の表示の読み方 · ppm
ppm = 100万分の1
16MHz × 20ppm = 16,000,000 × 20 ÷ 1,000,000 = 320Hz
用語データシート上の名称意味
周波数許容偏差Frequency Tolerance @+25°C25℃で周波数がずれうる幅
周波数安定度Frequency Stability動作温度範囲全体でずれうる幅
エージングAging最初の1年間に変化する幅(ABM8 ±2ppm)
ABM8標準:周波数許容偏差 ±50ppm・周波数安定度 ±50ppm(−10~60℃)

ppm(parts per million)は100万分の1です。16MHzの水晶振動子が±20ppmなら、16,000,000 × 20 ÷ 1,000,000 = ±320Hzまでずれる可能性があるという意味です。周波数許容偏差は25℃での値、周波数安定度は動作温度全体での値なので、両者は異なります。通信・USBのように周波数の正確さが求められる回路では、数字の小さい(より高精度な)ものを使います。

16.000MHz ±20ppmのラベルが貼られた袋を手に±20ppmとは何かと尋ねるお客様と、16MHzなら±320Hzまでずれうるとメモ用紙で示す女性店員

図の説明:お客様が「16.000MHz ±20ppm」のラベルが貼られた水晶振動子の袋を持ち、「±20ppmって何ですか?」と尋ねています。女性店員がメモ用紙に「16,000,000 × 20 ÷ 1,000,000 = 320Hz」と書いて見せながら、「16MHzなら±320Hzまでずれる可能性があるという意味ですよ!」と答えています。

4. 負荷容量(CL) — 水晶振動子のみ

品番標準負荷容量注文時
ABM818.0pFほかの値はpFで指定(最小6pF)
ABLS—8~33pFまたはS(直列)
AB26T12.5pFpFで指定(例:6pF)

水晶振動子は回路側のコンデンサと組み合わせて所定の周波数を出します。その基準値が負荷容量(Load capacitance、CL)で、注文品番にpFで記載します。同じ16MHzでもCLが回路と合わないと周波数が少しずれるため、代替するときは元の部品のCLを必ず確認してください。発振器は内部に発振回路が入っているので、CLを選ぶ必要はありません。

5. 水晶振動子の品番(ABM8)

水晶振動子・発振器の表示の読み方 · 水晶振動子の品番
ABM8-16.000MHz-B2-Tを1項目ずつ読む
Abracon ABM8データシート OPTIONS AND PART IDENTIFICATION(標準なら項目を空欄にする)
①ABM8
②16.000MHz
③B
④2
⑤T
ABM8① シリーズ
セラミックSMD水晶振動子
3.2 × 2.5 × 0.8mm
16.000MHz② 周波数
16MHz
MHz単位で記載
B③ 動作温度
−20~70℃
空欄なら−10~60℃
2④ 周波数許容偏差
±20ppm
空欄なら±50ppm
T⑤ 梱包
リール1,000個
T2 = 250個・T3 = 3,000個
項目の順序:ABM8[高さ] - 周波数 - 負荷容量 - ESR - [温度][許容偏差][安定度] - 梱包・標準ならその項目を空欄にする

ABM8の品番はシリーズ - 周波数 - 負荷容量 - ESR - 温度・許容偏差・安定度 - 梱包の順で、標準仕様の項目は空欄にします。上の例は、負荷容量(18pF)・ESR・周波数安定度(±50ppm)が標準なので省かれた形です。オプション文字は下の表のとおりです(—は項目を空欄にした標準)。

温度の文字動作温度許容偏差の文字周波数許容偏差
—−10~60℃—±50ppm
E0~70℃1±10ppm
B−20~70℃7±15ppm
C−30~70℃2±20ppm
N−30~85℃3±25ppm
D−40~85℃4±30ppm
J−40~105℃
K−40~125℃
安定度の文字周波数安定度梱包の文字梱包
—±50ppm—バルク
U±10ppmTリール1,000個
G±15ppmT2リール250個
X±20ppmT3リール3,000個
W±25ppm
Y±30ppm
H±35ppm
Q±100ppm

ABM8の名前のすぐ後ろに数字が付く場合は高さです — 空欄なら0.80mm以下、1 = 0.65mm、2 = 0.60mm。ESR(等価直列抵抗)を個別に指定する場合は、R40のようにR + Ω値を記載します。

6. 発振器の品番(ASFL1)

水晶振動子・発振器の表示の読み方 · 発振器の品番
ASFL1-24.000MHz-EC-Tを1項目ずつ読む
Abracon ASFL1データシート OPTIONS AND PART IDENTIFICATION
①ASFL1
②24.000MHz
③E
④C
⑤T
ASFL1① シリーズ
3.3V SMDクロック発振器
5.0 × 3.2 × 1.3mm
24.000MHz② 周波数
24MHz
0.321~133.33MHz
E③ 動作温度
−20~70℃
下の表
C④ 周波数安定度
±50ppm
下の表
T⑤ 梱包
リール1,000個
T2 = 250個
項目の順序:ASFL1 - 周波数 - [温度][安定度][デューティ] - 梱包・デューティ:空欄なら40/60%、S = 45/55%
温度の文字動作温度安定度の文字周波数安定度
I0~50℃J±20ppm
D−10~60℃R±25ppm
E−20~70℃K±30ppm
F−30~70℃H±35ppm
N−30~85℃B±40ppm
L−40~85℃C±50ppm

発振器ASFL1は周波数の後ろに温度・安定度・デューティ(Symmetry)の文字が付き、最後が梱包です。水晶振動子ABM8と品番の形は似ていますが、同じ文字が別の意味で使われるので、8章を必ず確認してください。

7. サイズと形状

形状サイズ(データシート)例
セラミックSMD(4パッド)3.2 × 2.5 × 0.8mmABM8
セラミックSMD(4パッド)5.0 × 3.2 × 1.3mmABM3 · ASFL1
HC-49/US SMD11.4 × 4.7 × 4.2mmABLS
円筒形(時計用)直径2.1 × 長さ6.2mmAB26T

小型のセラミックSMDは、縦横のサイズで呼ばれることが多いです(3.2 × 2.5mm、5.0 × 3.2mm)。同じサイズでも、水晶振動子か発振器かによってパッドの役割が異なるため、サイズだけを見て置き換えてはいけません。パッケージサイズの読み方は「部品パッケージ名まとめ」の記事にあります。
https://eguro.kr/board/view.html?b=library&id=59

8. いちばん紛らわしい落とし穴

水晶振動子・発振器の表示の読み方 · 落とし穴
同じメーカー、同じ文字、違う意味
Abracon ABM8(水晶振動子)とASFL1(発振器)のオプション表の比較
文字ABM8(水晶振動子)ASFL1(発振器)
B温度 −20~70℃安定度 ±40ppm
D温度 −40~85℃温度 −10~60℃
E温度 0~70℃温度 −20~70℃
K温度 −40~125℃安定度 ±30ppm
N温度 −30~85℃温度 −30~85℃(同じ)
H安定度 ±35ppm安定度 ±35ppm(同じ)
オプション文字はシリーズごとに個別に定められています — 品番を読むときは、そのシリーズのデータシートの表で確認
  • 水晶振動子 ≠ 発振器 — 周波数が同じでも、端子数・電源が異なるため差し替えられない
  • 32.768はkHz — ほかの数字はたいていMHz
  • 周波数許容偏差 ≠ 周波数安定度 — 25℃での値と温度範囲全体での値
  • 負荷容量 — 水晶振動子はCLが回路と合ってはじめて正確な周波数になる
  • オプション文字 — 同じAbraconでも、水晶振動子と発振器で文字の意味が異なる

9. 代替するときの確認事項

  • 種類 — 水晶振動子か発振器か
  • 周波数 — 単位(MHz・kHz)まで
  • 負荷容量(CL) — 水晶振動子なら元の部品と同じpFか
  • ppm — 周波数許容偏差と周波数安定度が元の部品以下か
  • 動作温度 — オプション文字をそのシリーズの表で確認
  • 電源電圧 — 発振器なら3.3Vなど回路の電源と合っているか
  • サイズ・パッド配置 — 同じサイズでもパッドの役割が同じか
品番が分かったら在庫を確認しましょう。 eGuroの部品検索で、ソウル中央流通団地をはじめとする韓国国内の流通業者の在庫をまとめて確認できます。

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資料:Abracon ABM8・ABM3・ABLS・AB26T(水晶振動子)、ASFL1・ASCO(クロック発振器)データシートのStandard Specifications・Options and Part Identification・Pin Function。オプション文字と仕様はシリーズごとに異なるため、実際に注文する前に該当するデータシートで確認してください。

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