図の説明:電子部品店のカウンターで、お客様が片手に2本足の銀色の水晶振動子(16.000)を、もう片方の手に底面にパッドが4つある四角い発振器(16.000)を持ち、「どちらも16MHzだから差し替えてもいいですよね?」と尋ねています。赤いエプロンの女性店員が発振器を指さして首を横に振り、「発振器は電源が入るチップですよ!足の数も違います。」と答えています。
水晶振動子(クリスタル)と水晶発振器(クロック発振器)は、どちらも本体に16.000のように周波数が印字されているため、同じ部品に見えます。しかし水晶振動子はマイコンの発振回路に接続して使う2端子部品で、発振器は電源を入れると自らクロックを出力するチップです。注文品番には周波数のほかにppm(誤差)・負荷容量・温度などの文字が付きます。
値はすべてAbraconのデータシート(ABM8・ABM3・ABLS・AB26T・ASFL1・ASCO)で確認しました。品番をクリックすると、eGuroの部品検索で在庫を探せます。
| 水晶振動子 | 水晶発振器 | |
|---|---|---|
| 役割 | マイコンの発振回路に接続して振動 | 自らクロック信号を出力 |
| 電源 | なし | あり(ASFL1:2.97~3.63V) |
| 端子 | 2つ(周波数端子) | 4つ:Tri-state・GND・Output・Vdd |
| 注文時に必ず見る項目 | 負荷容量(CL) | 電源電圧・出力 |
Abracon ASFL1発振器には、1番Tri-state(停止)、2番GND、3番出力、4番電源(Vdd)のパッドがあり、3.3Vで動作します。水晶振動子の位置に発振器をそのまま実装したり、その逆に置き換えたりすると、回路は動作しません。周波数が同じでも互いに代替できない部品です。
| 表示例 | 意味 |
|---|---|
| 16.000 | 16.000MHz — 小数点以下3桁まで印字されることが多い |
| 14.31818 | 14.31818MHz(ABLS・ASFL1データシートの周波数例) |
| 32.768 | 32.768kHz — 時計用(AB26T)、単位はkHz |
本体の数字はふつうMHz単位の周波数です。ただし時計・RTC用の32.768はkHzなので、単位を取り違えないようにしてください。本体に印字されるメーカー表示や日付コードはメーカーごとに異なるため、正確な品番は梱包ラベルやそのメーカーのデータシートで確認します。
| 用語 | データシート上の名称 | 意味 |
|---|---|---|
| 周波数許容偏差 | Frequency Tolerance @+25°C | 25℃で周波数がずれうる幅 |
| 周波数安定度 | Frequency Stability | 動作温度範囲全体でずれうる幅 |
| エージング | Aging | 最初の1年間に変化する幅(ABM8 ±2ppm) |
ppm(parts per million)は100万分の1です。16MHzの水晶振動子が±20ppmなら、16,000,000 × 20 ÷ 1,000,000 = ±320Hzまでずれる可能性があるという意味です。周波数許容偏差は25℃での値、周波数安定度は動作温度全体での値なので、両者は異なります。通信・USBのように周波数の正確さが求められる回路では、数字の小さい(より高精度な)ものを使います。
図の説明:お客様が「16.000MHz ±20ppm」のラベルが貼られた水晶振動子の袋を持ち、「±20ppmって何ですか?」と尋ねています。女性店員がメモ用紙に「16,000,000 × 20 ÷ 1,000,000 = 320Hz」と書いて見せながら、「16MHzなら±320Hzまでずれる可能性があるという意味ですよ!」と答えています。
水晶振動子は回路側のコンデンサと組み合わせて所定の周波数を出します。その基準値が負荷容量(Load capacitance、CL)で、注文品番にpFで記載します。同じ16MHzでもCLが回路と合わないと周波数が少しずれるため、代替するときは元の部品のCLを必ず確認してください。発振器は内部に発振回路が入っているので、CLを選ぶ必要はありません。
ABM8の品番はシリーズ - 周波数 - 負荷容量 - ESR - 温度・許容偏差・安定度 - 梱包の順で、標準仕様の項目は空欄にします。上の例は、負荷容量(18pF)・ESR・周波数安定度(±50ppm)が標準なので省かれた形です。オプション文字は下の表のとおりです(—は項目を空欄にした標準)。
| 温度の文字 | 動作温度 | 許容偏差の文字 | 周波数許容偏差 |
|---|---|---|---|
| — | −10~60℃ | — | ±50ppm |
| E | 0~70℃ | 1 | ±10ppm |
| B | −20~70℃ | 7 | ±15ppm |
| C | −30~70℃ | 2 | ±20ppm |
| N | −30~85℃ | 3 | ±25ppm |
| D | −40~85℃ | 4 | ±30ppm |
| J | −40~105℃ | ||
| K | −40~125℃ |
| 安定度の文字 | 周波数安定度 | 梱包の文字 | 梱包 |
|---|---|---|---|
| — | ±50ppm | — | バルク |
| U | ±10ppm | T | リール1,000個 |
| G | ±15ppm | T2 | リール250個 |
| X | ±20ppm | T3 | リール3,000個 |
| W | ±25ppm | ||
| Y | ±30ppm | ||
| H | ±35ppm | ||
| Q | ±100ppm |
ABM8の名前のすぐ後ろに数字が付く場合は高さです — 空欄なら0.80mm以下、1 = 0.65mm、2 = 0.60mm。ESR(等価直列抵抗)を個別に指定する場合は、R40のようにR + Ω値を記載します。
| 温度の文字 | 動作温度 | 安定度の文字 | 周波数安定度 |
|---|---|---|---|
| I | 0~50℃ | J | ±20ppm |
| D | −10~60℃ | R | ±25ppm |
| E | −20~70℃ | K | ±30ppm |
| F | −30~70℃ | H | ±35ppm |
| N | −30~85℃ | B | ±40ppm |
| L | −40~85℃ | C | ±50ppm |
発振器ASFL1は周波数の後ろに温度・安定度・デューティ(Symmetry)の文字が付き、最後が梱包です。水晶振動子ABM8と品番の形は似ていますが、同じ文字が別の意味で使われるので、8章を必ず確認してください。
| 形状 | サイズ(データシート) | 例 |
|---|---|---|
| セラミックSMD(4パッド) | 3.2 × 2.5 × 0.8mm | ABM8 |
| セラミックSMD(4パッド) | 5.0 × 3.2 × 1.3mm | ABM3 · ASFL1 |
| HC-49/US SMD | 11.4 × 4.7 × 4.2mm | ABLS |
| 円筒形(時計用) | 直径2.1 × 長さ6.2mm | AB26T |
小型のセラミックSMDは、縦横のサイズで呼ばれることが多いです(3.2 × 2.5mm、5.0 × 3.2mm)。同じサイズでも、水晶振動子か発振器かによってパッドの役割が異なるため、サイズだけを見て置き換えてはいけません。パッケージサイズの読み方は「部品パッケージ名まとめ」の記事にあります。
https://eguro.kr/board/view.html?b=library&id=59
| 文字 | ABM8(水晶振動子) | ASFL1(発振器) |
|---|---|---|
| B | 温度 −20~70℃ | 安定度 ±40ppm |
| D | 温度 −40~85℃ | 温度 −10~60℃ |
| E | 温度 0~70℃ | 温度 −20~70℃ |
| K | 温度 −40~125℃ | 安定度 ±30ppm |
| N | 温度 −30~85℃ | 温度 −30~85℃(同じ) |
| H | 安定度 ±35ppm | 安定度 ±35ppm(同じ) |
資料:Abracon ABM8・ABM3・ABLS・AB26T(水晶振動子)、ASFL1・ASCO(クロック発振器)データシートのStandard Specifications・Options and Part Identification・Pin Function。オプション文字と仕様はシリーズごとに異なるため、実際に注文する前に該当するデータシートで確認してください。
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