図の説明:電子部品店のカウンターで、お客さんが片手に足の長いDIPチップ(SN74HC00N)を、もう片方の手に小さなSMDチップ(HC00)を持って見比べながら「これも74HC00で合ってますか?文字が短いんですけど?」と尋ねます。赤いエプロンをつけた女性店員が小さいチップを指さして「小さいチップにはHC00だけが捺印されるんです。同じチップですよ!」と答えます。
74ロジックICは、NAND・インバータ・ラッチ・シフトレジスタなどの基本的な論理回路を収めたチップです。多くのメーカーが同じ番号で作っているため品番が似て見えますが、シリーズ記号(HC・HCT・LS・LVC …)によって使える電圧と入力方式が異なり、パッケージ記号やチップの捺印もメーカーごとに違います。
値はすべてTIとNexperiaのデータシートで確認しました。品番をクリックするとeGuroの部品検索で在庫を探せます。
74ロジックの品番は[メーカー接頭辞]+ 74 + シリーズ + 機能番号 + パッケージ(+ 梱包)の順です。TIは先頭にSNを付け、Nexperiaは接頭辞なしで74から始まります。74の位置が54なら−55~125℃で使うグレードです(TI SN54HC00・SN54LS00)。SN74HC00DRはTI・HCシリーズ・2入力NAND 4回路・SOIC・リール梱包で、74HCT573PWはNexperia・HCTシリーズ・8ビットDラッチ・TSSOPです。
| シリーズ | 電源電圧 | 入力・特徴 |
|---|---|---|
| LS | 4.75~5.25V | 5V専用、TI SN74LS00は0~70℃ |
| HC | 2.0~6.0V | CMOS入力 |
| HCT | 4.5~5.5V | TTL入力(5V回路用) |
| AHC | 2.0~5.5V | CMOS入力、入力は5.5Vまで |
| AHCT | 4.5~5.5V | TTL入力 |
| LVC | 1.65~5.5V | 入力は5.5Vまで(74LVC1G08) |
HCは2~6Vで使うCMOSシリーズで、HCTは同じ機能を4.5~5.5VでTTL入力レベルで使うシリーズです(Nexperia 74HC_HCT00)。LSは古い5Vシリーズで、TI SN74LS00は4.75~5.25V・0~70℃です。LVCは1.65~5.5Vで使え、入力に5.5Vまで加えられるため、3.3Vと5Vの回路をつなぐのに使われます。電圧範囲は各データシートの推奨動作条件(Recommended operating conditions)の値です。
図の説明:カウンターの上の基板に3.3Vの表示があります。お客さんが74HC245と74HCT245のラベルが貼られた袋を持って「HCとHCT、どっちを使ってもいいですよね?」と尋ねると、女性店員が74HCT245の袋を手のひらで遮りながら基板の3.3Vを指さし、「3.3V回路にHCTはダメです!4.5~5.5V用なんです。」と答えます。
| 番号 | 機能(データシート上の名称) | ピン数の例 |
|---|---|---|
| 00 | 2入力NANDゲート × 4(Quad 2-input NAND gate) | 14ピン |
| 04 | インバータ × 6(Hex inverter) | 14ピン |
| 08 | 2入力AND(74LVC1G08 = 1回路品) | 5ピン |
| 14 | シュミットトリガ・インバータ × 6(Hex inverting Schmitt trigger) | 14ピン |
| 138 | 3-8デコーダ(3-to-8 line decoder) | 16ピン |
| 245 | 8ビット双方向バストランシーバ(Octal bus transceiver; 3-state) | 20ピン |
| 573 | 8ビットDラッチ(Octal D-type transparent latch; 3-state) | 20ピン |
| 595 | 8ビットシフトレジスタ + 出力ラッチ | 16ピン |
シリーズ記号の後ろの数字が機能です。機能番号が同じなら、シリーズが違っても働きは同じです — 74HC00・74HCT00・74LS00・74AHC00はすべて2入力NAND 4回路です。ただし第2章のとおり電圧と入力が異なるため、機能番号だけを見て差し替えてはいけません。1Gが入った品番(74LVC1G08)は、ゲートを1個だけ内蔵した小さなチップです。
| パッケージ | TI | Nexperia |
|---|---|---|
| DIP(足の長い挿入型) | N | — |
| SOIC · SO(14 · 16ピン) | D | D |
| SOIC 20ピン(ボディ幅7.5mm) | DW | D |
| SSOP | DB | — |
| TSSOP | PW | PW |
| QFN系(リードなし) | — | BQ · BZ |
| SOT-23 5ピン(1Gチップ) | DBV | GV(SC-74A) |
| TSSOP 5ピン(1Gチップ) | — | GW |
| リール梱包 | 末尾にR(DR · PWR) | — |
TIはNがDIP、DがSOIC、PWがTSSOPで、末尾にRが付くとリール(Tape & Reel)梱包です — データシートではSN74HC00DRは2,500個リール、SN74HC00Nは25個チューブとなっています。NexperiaもD・PWを使いますが、20ピン幅広SOはTIがDW、NexperiaがDなので、同じ記号が違うサイズを指すことがあります。パッケージサイズの読み方は「部品パッケージ名まとめ」の記事にあります。
https://eguro.kr/board/view.html?b=library&id=59
| 注文品番 | チップの捺印 | データシート |
|---|---|---|
| SN74HC00N | SN74HC00N | TI |
| SN74HC00DR | HC00 | TI |
| SN74LS00NSR | 74LS00 | TI |
| 74LVC1G08GW | VE | Nexperia |
| 74LVC1G08GV | V08 | Nexperia |
DIPのような大きなチップには品番がほぼそのまま捺印されますが、SOICやTSSOPのようなSMDは接頭辞とパッケージ記号を省いて短縮して捺印されます。1Gのようなごく小さなチップはVEのような2~3文字の捺印コードだけが印字されるため、そのメーカーのデータシートのMarking表で調べる必要があります。Nexperia 74LVC1G08のデータシートには、1番ピンのマークは捺印コードの下の左隅にあると記載されています。
| 品番 | シリーズ | 機能 | パッケージ |
|---|---|---|---|
| SN74HC00N | HC | NAND × 4 | DIP14 |
| SN74HC00DR | HC | NAND × 4 | SOIC14 · リール |
| SN74LS00N | LS | NAND × 4 | DIP14 |
| 74HCT573PW | HCT | 8ビットラッチ | TSSOP20 |
| 74HC595D | HC | シフトレジスタ | SO16 |
| 74HC138PW | HC | 3-8デコーダ | TSSOP16 |
| 74HC14D | HC | シュミットインバータ | SO14 |
| 74LVC1G08GW | LVC | AND × 1 | TSSOP5 |
すべてTI・Nexperiaのデータシートの注文情報をもとに解説しました。同じ機能番号でシリーズ記号だけが違う品番(例:74HC573PWと74HCT573PW)は、電圧と入力レベルが異なるという点だけ覚えておいてください。
資料:TI SN74HC00(SCLS181H)・SN74LS00(SDLS025D)・SN74HCT245(SCLS020H)・SN74LVC1G08(SCES217AA)、Nexperia 74HC_HCT00・74HC_HCT04・74HC_HCT14・74HC_HCT138・74HC_HCT245・74HC_HCT573・74HC_HCT595・74AHC_AHCT00・74LVC1G08 データシート。シリーズ・パッケージ・捺印はメーカーや製品によって異なる場合があるため、実際に注文する前に該当するデータシートでご確認ください。
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