図の説明: お客様が3本足の大きな部品(L7805CV)とリールに入った平たい部品(L7805CD2T-TR)を持って「どちらも7805だから同じですよね?」と尋ねます。赤いエプロンをした女性スタッフが「チップは同じでも末尾の文字が違います。VはTO-220、D2TはD²PAKのリールです!」と答えます。
ST(STMicroelectronics)の部品は同じチップでも注文品番の末尾の文字が何種類もあります。5Vレギュレータ1つでもL7805CV・L7805CV-DG・L7805CDT-TR・L7805CD2T-TR・L7805CPのように分かれます。末尾の文字はほとんどがパッケージ(本体の形)、グレード(温度・精度)、梱包(チューブ・リール)を表します。
この記事はSTデータシートのOrder codes(注文コード)表とMarking(チップ表示)欄だけをもとにまとめました。STが別途解説を出していないため、複数のデータシートを突き合わせて読み取ったものには[推定]と表示しています。
この記事はレギュレータ・MOSFETのようなST汎用部品だけを扱います。STM32マイコンの品番は別にまとめました。
https://eguro.kr/ja/board/view.html?b=library&id=87
78・79・1117シリーズのメーカーごとの違い(ST・TI・onsemi)とピン配置は電圧レギュレータの記事にあります。
STレギュレータはシリーズ → 電圧 → グレード → パッケージ → 梱包の順です。ただしLD1117はパッケージの文字が電圧の前に来ます(LD1117S33TR = LD1117 + S(SOT-223) + 33(3.3V) + TR(リール))。シリーズごとに順序が少しずつ違うので、2・3節の表で確認します。
| シリーズ | C | Aが付くグレード | その他 |
|---|---|---|---|
| L78 (1.5A) | 0~125℃ · ±4% | AC 0~125℃ · AB −40~125℃ (±2%) | — |
| L78M (0.5A) | 0~150℃ · ±4% | AC 0~125℃ · AB −40~125℃ (±2%) | — |
| L79(負電圧) | 0~150℃ · ±4% | AC 0~125℃ (±2%) | — |
| L78L (100mA) | 0~125℃ · ±8% | AC 0~125℃ · AB −40~125℃ (±4%) | — |
| LD1117 | −40~125℃ (電圧の後ろ) | — | Cなし = 0~125℃ |
| LM317 | — | — | なし 0~125℃・B −40~125℃・LM217 −25~150℃ |
温度はすべてチップ内部の温度(接合温度、TOP)基準で、±%は各データシート1ページ目の出力電圧誤差です。
L78ではCが0~125℃で最も基本的なグレードで、広い温度範囲(−40℃)はABです。ところがLD1117データシートの表1は“for C version -40 to +125°C”となっており、Cが付いた方が広い温度範囲です。位置も違います — L7805CVは電圧のすぐ後ろ、LD1117S33CTRは電圧とTRの間。LD1117S33TR(0~125℃)の代わりにLD1117S33CTR(−40~125℃)を送ると仕様が変わります。
LM317はグレードの文字がBです。LM317Tは0~125℃、LM317BTは−40~125℃で、頭が違うLM217Tは−25~150℃です(DS0433 表1)。
| 末尾の文字 | パッケージ・梱包 | 例(ST注文表) |
|---|---|---|
| V | TO-220・チューブ | L7805CV · L7905CV · LD1117V33 |
| V-DG | TO-220 dual gauge・チューブ | L7805CV-DG · L78M05CV-DG |
| P | TO-220FP(絶縁型)・チューブ | L7805CP · LM317P |
| D2T-TR | D²PAK・リール1,000個 | L7805CD2T-TR · LM317D2T-TR |
| DT-TR | DPAK・リール2,500個 | L7805CDT-TR · L78M05CDT-TR |
| DT-1 | IPAK(挿入型DPAK) | L78M05CDT-1 |
| S…TR · S-TR | SOT-223・リール1,000個 | LD1117S33TR · LM317S-TR |
| Z | TO-92・袋(Bag) | L78L05ACZ |
| Z-AP | TO-92・アモパック(折りたたみテープ) | L78L05ACZ-AP |
| ZTR · Z-TR | TO-92・テーピング・リール | L78L05ACZTR · L78L05ABZ-TR |
| D13TR · D-TR | SO-8・テーピング・リール | L78L05ACD13TR · L78L33ABD-TR |
| UTR | SOT-89・テーピング・リール | L78L05ACUTR |
リールの数量は各データシートのtape and reel表のBase quantityの値です(L78・LM317 D²PAK 1,000・L78・L78M・LD1117 DPAK 2,500・LD1117・LM317 SOT-223 1,000)。
L78の表27はTO-220の欄をsingle gauge(V)とdual gauge(V-DG)に分けています。2つのパッケージ寸法表を比べると、ほかの寸法は同じでF寸法だけが違います — single gauge 0.51~0.60mm、dual gauge 1.23~1.32mm(表19・20)。-DGをdual gaugeの頭文字と見るのは[推定]で、データシートには欄の名前としてしか出てきません。お客様がV-DGを使っているなら、Vに替える前に確認します。
同じTO-92のリールでもL78L05ACZTRはハイフンがなく、L78L05ABZ-TRにはあります。SO-8もL78L05ACD13TRとL78L33ABD-TRが混在しています(L78L 表29)。規則どおりに書き直すと存在しない品番になるので、データシートの注文表の文字そのままで見積もりを取ります。13TRの13が何を意味するかはデータシートにありません。
L78L表29の脚注には、TO-92の-AP(Ammopak)とTR(tape and reel)は“pins are shaped according to tape and reel specifications” — リードがテープ規格に合わせて曲げられて出荷されると書かれています。手挿し作業ならZ(袋)、自動挿入機なら-AP・TRを使います。
ST社内でもTO-220はL78がV、LM317がTです。LM317TのTとL7805CVのVは同じTO-220で、D2T・DTの中にもTが入っていて紛らわしいので、「TはTO-220」のように1文字で覚えず、シリーズごとに注文表を見ます。
| 品番 | パッケージ | 梱包 |
|---|---|---|
| L78L05ACZ | TO-92(3本足の挿入型) | 袋 |
| L78L05ACUTR | SOT-89 (SMD) | リール |
| L78L05ACD13TR | SO-8(SMD 8ピン) | リール |
同じL78L05ACでもZ・U・Dによって本体がまったく違います。ピン順もパッケージごとに違うので(TO-92はOUT・GND・IN)、96番の記事のピン配置表もあわせて見てください。
| 注文品番 | チップ上面の表示 | パッケージ |
|---|---|---|
| L78L05ACZ | L78L05A | TO-92 |
| L78L05ABZ | L78L05A | TO-92 |
| L78L05CZ | L78L05A | TO-92 |
| L78L05ACD13TR | 78L05A | SO-8 |
| L78L05ABD13TR | 78L05B | SO-8 |
| L78L05CD13TR | 78L05 | SO-8 |
| L78L05ACUTR | 8C | SOT-89 |
| L78L12ACUTR | 8K | SOT-89 |
L78Lの表30(Marking information)を見ると、TO-92はAC・AB・CがすべてL78L05Aで同じで、SOT-89は8Cのように電圧コード2文字だけが刻印されます。そのためチップを見ただけではグレード(AB・AC・C)と梱包(Z・Z-AP・ZTR)は分かりません。現物の確認は袋・リールラベルの注文品番で行います。
STはMOSFET品番の規則を公式文書として出していません。上の解説はデータシートの注文表(Order code・Package・Marking)とタイトルに書かれた技術名を突き合わせたもので、③・⑤・⑥・⑦の文字の意味は[推定]です。パッケージ・梱包は注文表に直接書かれているので確実なので、まずそれを見ます。MOSFET品番全般(2SK・IRF・TK)は56番の記事にあります。
https://eguro.kr/ja/board/view.html?b=library&id=56
| 先頭の文字 | パッケージ | 梱包 | 例 |
|---|---|---|---|
| STP | TO-220 | チューブ | STP55NF06 |
| STF | TO-220FP(絶縁型) | チューブ | STF13NM60N |
| STB | D²PAK | リール | STB10NK60ZT4 |
| STI | I²PAK | チューブ | STI13NM60N |
| STD | DPAK | リール | STD30NF06LAG |
| STU | IPAK | チューブ | STU10NM60N |
| STW | TO-247 | チューブ | STW70N60M2 |
| STWA | TO-247 long leads | チューブ | STWA88N65M5 |
| STH | H²PAK-2 · H²PAK-6 | リール | STH240N10F7-2 |
| STL | PowerFLAT 5x6 | リール | STL130N6F7 |
| STN | SOT-223 | リール | STN3NF06L |
| STS | SO-8 | リール | STS4DNF60L |
表のパッケージ・梱包は各データシートの注文表の値です。3文字目がパッケージを表すという規則自体は[推定]で、STF20N65M5データシートの改訂履歴にはSTFI・STFWのような別の組み合わせもあったので、初めて見る文字はデータシートで確認します。
古いデータシートではTO-220FPがSTFではなくSTP…FPとして出てきます(STP55NF06FP・STP10NK60ZFP)。I²PAKもSTIではなくSTB…-1です(STB80NF55-06-1)。末尾のFP・-1を抜いて送るとTO-220・D²PAKになります。
図の説明: お客様が金属タブがむき出しの部品(STP13NM60N)と全体が黒いプラスチック本体の部品(STF13NM60N)を見ながら「1文字違いだからどちらでも大丈夫ですよね?」と尋ねます。赤いエプロンをした女性スタッフが「PはTO-220、Fは絶縁型TO-220FPです。電力が90Wと25Wで違います!」と答えます。
| 品番 | パッケージ | 電力 PTOT | RthJC |
|---|---|---|---|
| STP13NM60N | TO-220 | 90W | 1.39℃/W |
| STF13NM60N | TO-220FP | 25W | 5℃/W |
| STI13NM60N | I²PAK | 90W | 1.39℃/W |
3つの品番は600V・11A・オン抵抗最大360mΩでチップが同じです(DS14455・DS14454・DS14452 表1)。ところがTO-220FPは金属タブまでプラスチックで覆った絶縁型なので熱が逃げにくく、許容損失が90W → 25Wに下がります。その代わりSTFだけに“Insulation withstand voltage” 2.5kV(3本のリード ↔ ヒートシンク)があり、絶縁パッドなしでヒートシンクに取り付けられます。
STP80NF55-06は80Aですが、STP80NF55-06FPは同じ表で60Aです。STP55NF06FPのデータシートにも、FP型は熱抵抗のためSOA(安全動作領域)で最大電流を確認するよう脚注があります。STPを使っていた箇所にSTFを提案する場合やその逆の場合は、パッケージ・放熱・絶縁をお客様と必ず確認します。
| 品番 | 名前の数字 | データシートの値 |
|---|---|---|
| STP55NF06 | 55 · 06 | 50A · 60V |
| STN3NF06L | 3 · 06 | 4A · 60V |
| STL130N6F7 | 130 · 6 | 130A · 60V |
| STL140N4F7AG | 140 · 4 | 120A · 40V |
| STH240N10F7-2 | 240 · 10 | 180A · 100V |
| STP80NF55-06 | 80 · 55 | 80A · 55V |
| STS4DNF60L | 4 · 60 | 4A · 60V |
| STP10NK60Z | 10 · 60 | 10A · 600V |
| STW88N65M5 | 88 · 65 | 84A · 650V |
前の数字はおおよその電流クラス、後ろの数字は電圧クラスのようです[推定]。しかし後ろの数字の単位が混在しています — 06・6・4・10は×10(60・60・40・100V)、STP10NK60Zの60は600VなのにSTS4DNF60Lの60は60V、STP80NF55の55は55Vそのままです。前の数字も240が180A、140が120Aです。数字だけで電圧・電流を決めつけず、データシート1ページ目の表(VDS・ID)で確認します。STP80NF55-06の末尾の-06は別に付く品番の文字ですが、データシートに意味の説明がありません。
| 品番の中の文字 | データシートに書かれた技術 | 例 |
|---|---|---|
| NF | STripFET · STripFET II | STP55NF06 · STN3NF06L |
| NK…Z | SuperMESH, Zener-protected | STP10NK60Z |
| NM…N | MDmesh II(第2世代MDmesh) | STP13NM60N · STU10NM60N |
| …M2 | MDmesh M2 | STW70N60M2 |
| …DM2 | MDmesh DM2(高速回復ダイオード) | STW48N60DM2 |
| …M5 | MDmesh M5 | STW88N65M5 · STF20N65M5 |
| …F7 | STripFET F7 | STL130N6F7 · STH240N10F7-2 |
右側の技術名は各データシートのタイトル・説明にそのまま書かれているものです。品番の文字と技術の対応は[推定]です。代替品を探すとき、技術の文字が違えば同じ電圧・電流でもスイッチング特性(ゲート電荷・ダイオード回復)が異なる場合があるので、データシートの値を比較します。DM2のように「高速回復ダイオード」を強調した品番をM2に替えると、ブリッジ回路で問題になることがあります。
| 末尾の文字 | データシートの表・説明 | 例 |
|---|---|---|
| L | Low threshold drive(ゲート1~2.5Vでオンし始める) | STD30NF06LAG · STS4DNF60L |
| Z | Zener-protected(ゲート保護ツェナー) | STP10NK60Z |
| D(中央) | 「dual operation」の脚注 — 2個入り[推定] | STS4DNF60L |
| AG | AEC-Q101 qualified(車載用認証) | STD30NF06LAG · STL140N4F7AG |
| T4 | D²PAK テーピング・リール | STB10NK60ZT4 · STB80NF55-06T4 |
| -1 | I²PAK チューブ(旧品番) | STB80NF55-06-1 |
| -2 · -6 | H²PAK-2・H²PAK-6(ピン数が違う) | STH240N10F7-2 · STH240N10F7-6 |
| FP | TO-220FP(旧品番) | STP55NF06FP |
L・Z・AGはデータシート1ページ目の特徴(Features)に書かれた言葉と突き合わせたもので、文字の意味は[推定]です。T4も常に付くわけではありません — STB55NF06はT4なしでTape and reelとして出てきます(Doc ID 7544 表1)。自動車・車載のお客様なら、AGが付いた品番か、一般品番(AGなし)に替えてもよいかをまず確認します。
| 注文品番 | チップ上面の表示(データシートMarking) |
|---|---|
| STP55NF06 | P55NF06 |
| STB10NK60ZT4 | B10NK60Z |
| STP10NK60ZFP | P10NK60ZFP |
| STP13NM60N | 13NM60N |
| STF13NM60N | 13NM60N(上と同じ) |
| STI13NM60N | 13NM60N(上と同じ) |
| STWA88N65M5 | 88N65M5(STW88N65M5と同じ) |
| STD30NF06LAG | D30NF06L |
| STL140N4F7AG | 140N4F7 |
| STS4DNF60L | 4DF60L |
古い品番はマーキングの先頭にパッケージの文字(P・B・W)が残りますが、最近の版のデータシートは13NM60Nのようにパッケージの文字なしで同じマーキングを使います。AG・T4はチップに刻印されません。チップのマーキングだけでは車載用か、リールかは分からないので、梱包ラベルの注文品番で確認します。
資料: STデータシート — L78(DS0422 Rev 38)・L78L(DS0424 Rev 30)・L78M(DS0425 Rev 24)・L79(DS0428 Rev 24)・LD1117(DocID2572 Rev 38)・LM217/LM317(DS0433 Rev 22)・STB55NF06/STP55NF06(Doc ID 7544 Rev 11)・STP80NF55-06(Rev 8)・STP10NK60Z(DS2635 Rev 12)・STP13NM60N(DS14455)・STF13NM60N(DS14454)・STI13NM60N(DS14452)・STU10NM60N(DS14497)・STD30NF06LAG(DocID029664)・STL140N4F7AG(DocID028588)・STL130N6F7(DS10891)・STH240N10F7-2(DS10259)・STN3NF06L(DocID7798)・STS4DNF60L(Doc ID 6121)・STW70N60M2(DS9514)・STW48N60DM2(DS10603)・STW88N65M5(DS8771)・STF20N65M5(DS9474)(2026-11-04確認)。STはMOSFET品番の規則文書を出していないため、[推定]の表示は注文表から読み取ったものです。実際に注文する前には、該当品番の最新データシートで確認してください。
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|---|---|
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