図の説明:お客さんが K3569 と印字された TO-220 部品(足が 3本、上に放熱板)を持ち、“K3569?これは何ですか?”と尋ねます。スタッフが指を立てて“2SK3569 です。頭の 2S が省略されているんです。”と説明します。
FET(MOSFET)は、電源・モーター・LED駆動基板のすべてに搭載されるスイッチ部品です。古い機器を修理するときに最もよく探される部品でもあります。
MLCCと違い、FETの品番はメーカーごとに規則がばらばらで、数字だけでは電圧・電流がわからない品番も多くあります。それでも、よく見かける系列には読み方のコツがあります。公式の規則があるものだけを選んでまとめました。
| 先頭部分 | 種類 | 用途 |
|---|---|---|
| 2SA | PNPトランジスタ | 高周波用 |
| 2SB | PNPトランジスタ | 低周波(オーディオ)用 |
| 2SC | NPNトランジスタ | 高周波用 |
| 2SD | NPNトランジスタ | 低周波(オーディオ)用 |
| 2SJ | PチャネルFET | MOSFET·JFET |
| 2SK | NチャネルFET | MOSFET·JFET |
日本の規格(JIS、現在はJEITAが管理)で登録された品番です。先頭の2Sは「3端子の半導体」、3文字目が種類です。K = Nチャネル FET、J = Pチャネル FETで、A・B・C・Dはトランジスタ(A・B = PNP、C・D = NPN)です。後ろの数字は登録順にすぎないため、電圧・電流はデータシートを見る必要があります。
現場のコツ — 部品本体には2Sを省いてK3569、C1815のように印字されていることが多いです。検索するときは先頭に2Sを付けてみてください: 2SK3569 · 2SC1815
米国JEDECに登録された品番です。1N = ダイオード(1N4007)、2N = 3端子(トランジスタ・FET、2N7002・2N3904)、3N = 4端子(デュアルゲートMOSFETなど)。こちらも数字は登録番号なので仕様はわかりませんが、複数のメーカーが同じ品番で製造しているため代替品を見つけやすいです: 2N7002 · 2N7000
IR(International Rectifier、現在はインフィニオン)の旧HEXFET品番は、文字ごとに意味があります。IRF = 一般、IRL = ロジックレベル(5V程度のゲート電圧でオンになるタイプ)。その後ろの文字はパッケージ(なければTO-220)、9があればPチャネル、次の数字が電圧です。
| 品番 | パッケージ | チャネル | 電圧 (規則表) |
|---|---|---|---|
| IRFZ44 | TO-220 | N | Z → 60V |
| IRF540 | TO-220 | N | 5 → 100V |
| IRF640 | TO-220 | N | 6 → 200V |
| IRF740 | TO-220 | N | 7 → 400V |
| IRF840 | TO-220 | N | 8 → 500V |
| IRFP9140 | TO-247 | P (9) | 1 → 100V |
パッケージ文字 — IRF(IRL)のすぐ後ろに付きます
| 文字 | パッケージ | 例 |
|---|---|---|
| (なし) | TO-220 | IRF540 |
| B | TO-220 (600~1000V 高電圧タイプ) | IRFBC40 |
| I | TO-220フルパック (絶縁タイプ) | IRFI540N |
| P | TO-247 (TO-3P) | IRFP250 |
| IP | TO-247フルパック | - |
| R | D-Pak (TO-252) | IRFR4105 |
| U | I-Pak (TO-251) | IRFU120 |
| L | SOT-223 | IRFL014 |
| S (末尾) | D²Pak (TO-220の表面実装タイプ) | IRF540NS |
末尾に付く文字
| 文字 | 意味 |
|---|---|
| N | 次世代の代替品 (IRF540 → IRF540N) |
| S | D²Pakタイプ |
| LC | ゲート電荷が低いタイプ |
| PbF | 鉛フリー製品 |
| TR · TRL · TRR | テープ・リール包装 |
※ IRF3205・IRF4905 のような4桁数字の品番は別の規則です — 前2桁 01~48 = Nチャネル、49~69 = Pチャネル、後2桁 = 電圧(05 = 50V台、10 = 100V)。ただし後に出た品番(IRF1010E・IRFB4227 など)は当てはまらないので、データシートで確認してください。また、末尾に N がない IRF540・IRF740・IRF840 は現在 Vishay の製品です。詳しい解説:インフィニオン(IR) MOSFET・IGBT品番の読み方
東芝は2SK・2SJの代わりにTK(Nチャネル)・TJ(Pチャネル)で始まる新しい名前を使います。3ピン製品はTK + 電流 + パッケージ + 電圧(×10) + 世代の順なので、名前を見るだけで仕様がわかります。
| 品番 | 解説 |
|---|---|
| TK10A60D | Nチャネル · 10A · TO-220SIS · 600V · π-MOSVII (旧名 2SK3569) |
| TK40S10K3Z | Nチャネル · 40A · DPAK+ · 100V · U-MOSIV · 低抵抗タイプ · ゲート保護ツェナー内蔵 |
パッケージ文字 — 電流の数字のすぐ後ろに付きます (東芝品番規則表)
| 文字 | パッケージ | 文字 | パッケージ |
|---|---|---|---|
| A | TO-220SIS (絶縁タイプ) | E | TO-220 |
| G | D²PAK | P | DPAK |
| S | DPAK+ | Q | IPAK |
| N | TO-247 | Z | TO-247-4L (4ピン) |
| J | TO-3P(N) | L | TO-3P(L) |
| M | TO-3P(N)IS | C | I2PAK |
| F | TO-220SM(W) | V | DFN8x8 |
STはST + パッケージ文字で始まります: STP = TO-220、STB = D²PAK、STD = DPAK(TO-252)。中間のNはNチャネル(PならPチャネル)で、NFのように後ろに付く文字は技術世代(STripFETなど)です。
注意 — 数字はおおよその表示なので、そのまま信じてはいけません。STP140NF75は名前に140が入っていますが連続電流は120Aで、末尾の75は75Vです。STD70N10F4は末尾の10が100Vです。数字は「このくらいのクラス」程度に捉え、必ずデータシートで確認してください。
図の説明:お客さんが似た形の TO-220 部品を両手に一つずつ持ち、“これに置き換えて使ってもいいですか?”と尋ねます。スタッフが机の上にデータシートを 2枚広げ、ペンで指しながら“まず N チャネル・ピン順・電圧を見ましょう。”と答えます。
※ 電源部・モーター駆動など大電流が流れる箇所では、置き換え後に必ず温度を確認してください。
資料: JEITA(JIS C 7012)半導体形名 · International Rectifier Part Numbering System(Conventional HEXFET、現インフィニオン) · 東芝 MOSFET Part Naming Conventions · ST製品ページ。規則が公開されていないメーカー(onsemi・Fairchildなど)は含めていません。
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