ダイオードのデータシートの読み方 — VRRM・IF(AV)・IFSM・VF・IR・trr、整流・高速・ショットキー・ツェナー・TVSの値を比較

管理者・2026.10.26

1N4007の代わりにUF4007を使ってもいいかと尋ねるお客さんと、データシートのtrrの行を指さして見せる女性店員

画像の説明:お客さんが1N4007とUF4007の袋を持って「どちらも1000V 1Aだから、どれでもいいですよね?」と尋ねます。赤いエプロンをつけた女性店員がデータシートのtrrの行を指でさしながら「速さが違います!」と答えます。

ダイオードを別の品番に置き換えるとき、"1000V 1Aならどれも同じ"と考えがちですが、データシートにはそれより多くの値があり、値ごとに条件が付いています。この記事では、Vishayの代表的なダイオードのデータシート7件(一般整流1N4007・超高速UF4007・ショットキー1N5819・SS14・小信号1N4148・ツェナー1N4742A・TVS SMAJ15A)を並べて、どの値をどの条件で比較すべきかを整理しました。

値はすべてVishayの公式データシートとアプリケーションノート(Fundamentals of Rectifiers・Physical Explanation)から引用し、英語の引用符内は原文のままです。品番をクリックするとeGuroの部品検索で在庫を探します。

目次
1. どこから見るか — 3つの値
2. 電圧 — VRRM・VRMS・VDC
3. 電流IF(AV) — 同じ1.0A、違う条件
4. サージ電流IFSM — パルス条件を確認
5. 順方向電圧VF — 熱と損失
6. 漏れ電流IR — ショットキーは温度に弱い
7. 回復時間trr — 整流・高速・超高速
8. 静電容量CJ・CD
9. 熱抵抗・最高温度
10. ツェナー・TVS特有の値
11. 6種類の比較早見表
12. 置き換え時のチェックリスト

1. どこから見るか — 3つの値

ダイオードのデータシートの読み方
選ぶときに最初に見る値
Vishayアプリケーションノート Fundamentals of Rectifiers
順序値意味
1VRRM耐えられる繰り返し逆電圧(何Vまで)
2IF(AV)平均順方向電流(何Aまで)
3trrスイッチング回路なら — 逆回復時間(どれだけ速くオフになるか)
+IFSM · VF · IRサージ電流・順方向電圧・漏れ電流
VRRM・IF(AV)を先に、スイッチング回路ならtrrまで

Vishayのアプリケーションノートは、整流ダイオードを選ぶときの主な値を次のように記載しています:“The major parameters for the selection of the appropriate rectifier are the maximum reverse voltage (VRRM), the average forward current (IF(AV)) and for switching application the reverse recovery characteristic (trr) too.” また、データシートの表の見出しにある“TA = 25°C unless otherwise noted”は、特に記載のない値はすべて周囲温度25℃基準という意味です。実際の基板はそれより高温になります。

2. 電圧 — VRRM・VRMS・VDC

品番VRRM(繰り返し逆電圧)VRMS(交流実効値)VDC(直流逆電圧)
1N400150V35V50V
1N4004400V280V400V
1N40071000V700V1000V
1N581940V28V40V

VRRMは“Repetitive peak reverse voltage, including all repeated reverse transient voltages” — 繰り返しかかる逆方向の最大電圧です。交流を直接整流すると、実効値ではなくピーク値(220Vなら約311V)がかかります。そのため交流入力では、データシートのVRMS欄がその交流電圧より大きい品番(220VならVRMS 280Vの1N4004以上)を選びます。1N4001〜1N4007は電圧の値だけが異なり、残りの値は同じなので、数字が大きい品番は小さい品番の代わりに使えますが、逆はできません。ショットキーの1N5819はVRRMが40Vで、整流ダイオードよりはるかに低いです。

3. 電流IF(AV) — 同じ1.0A、違う条件

同じ1.0Aと書かれた2つのデータシートを比べながら、条件欄の温度を指さす女性店員

画像の説明:お客さんがデータシート2枚を並べて持ち「どちらも1.0Aですね!」と言います。女性店員が表の条件欄を指さしながら「条件の温度が違います!」と答えます。

品番IF(AV)データシートの条件
1N40071.0Aリード長9.5mm、周囲温度TA = 75℃
UF40071.0Aリード長9.5mm、周囲温度TA = 55℃
1N58191.0Aリード長9.5mm、リード温度TL = 90℃
SS141.0Aリード温度TL — 数値なしでグラフ(fig. 1)のみ
1N4148150mAVR = 0

3つの品番はいずれも"1.0A"ですが、どの温度での1.0Aなのかが異なります。温度がそれより上がると流せる電流が減り、この減り方を示すのがデータシートのForward Current Derating Curve(電流ディレーティング曲線)のグラフです。アプリケーションノートはIF(AV)を“Average forward output current, at a specified current waveform … a specified reverse voltage and a specified mounting condition (e.g. lead-length = 10mm or PCB mounted with certain pads and distance)”と定義しています — 波形・逆電圧・実装方法まで決められた値という意味です。

4. サージ電流IFSM — パルス条件を確認

品番IFSM条件
1N400730A8.3ms半波1回(60Hz半周期)
UF400730A8.3ms半波
1N581925A8.3ms半波
SS1440A8.3ms半波
SMAJ15A40A8.3ms半波、単方向のみ
1N41482Atp = 1µs (100万分の1秒)

IFSMは、電源を入れたときにコンデンサが充電されて一度に大きく流れる突入電流のような瞬間的な電流に、どれだけ耐えられるかを示します。アプリケーションノートは“It is not an operating value.”と記載しています — 流し続けてよい値ではありません。整流ダイオードは8.3ms半波基準ですが1N4148は1µs基準なので、数字だけを比較してはいけません。

5. 順方向電圧VF — 熱と損失

品番VF最大条件
1N40071.1V1.0A
UF40071.7V1.0A(UF4001〜4004は1.0V)
1N58190.600V1.0A(表に単位なしで“1.0”)
SS140.50V1.0A(SS15・SS16は0.75V)
1N41481V10mA
1N4742A1.2V200mA(ツェナーの順方向)

VFは電流が流れるときにダイオードの両端にかかる電圧で、VF×電流=熱になります。1Aを流すと、1N4007は最大1.1W、ショットキーの1N5819は最大0.6Wが熱として出ます。ショットキーを使う最大の理由がこの低いVFです。VFは何Aで測った値かも一緒に見る必要があり、ほとんどが“Pulse test: 300µs pulse width, 1 % duty cycle” — 短いパルスで測った値(チップが温まる前)です。

6. 漏れ電流IR — ショットキーは温度に弱い

品番25℃高温
1N40075.0µA50µA (125℃)
UF400710µA50µA (100℃)
1N58191.0mA10mA (100℃)
SS140.2mA6.0mA (100℃)
1N414825nA (20V)50µA (20V, 150℃)

IRは逆方向で阻止しているときに漏れる電流です(すべて定格逆電圧での値)。ショットキーは一般整流より漏れが数百倍大きく、温度が上がるとさらに10倍ずつ大きくなります。電池機器のように待機電流が重要な場所や、高温の場所にショットキーを使うときは、この値を必ず確認してください。ショットキーの1N5819は最高接合部温度も125℃と低いです(9章)。

7. 回復時間trr — 整流・高速・超高速

区分(Vishayアプリケーションノート)trr例
Standard(一般整流)500nsより長い1N4007 — データシートにtrrの項目自体がない
Fast(高速)100 ~ 500ns
Ultrafast(超高速)100nsより短いUF4007 75ns(UF4001〜4004は50ns)
Schottky(ショットキー)構造が異なり回復時間がほとんどない1N5819 — 表にtrrなし、“Extremely fast switching”
小信号スイッチング1N4148 4ns・8ns(2つの条件)

ダイオードはオンの状態から逆方向に切り替わるとき、すぐにはオフにならず、一瞬逆向きに電流が流れます。その時間がtrrです。50・60Hzの商用電源の整流には1N4007のように遅くても問題ありませんが、スイッチング電源(SMPS)・DC-DCコンバータのように数十kHz以上では、遅いダイオードは発熱します。そのため1N4007の代わりにUF4007はたいてい使えますが、UF4007の代わりに1N4007は使えません。trrにも条件が付いており、UF4007は“IF = 0.5A, IR = 1.0A, Irr = 0.25A”です。

8. 静電容量CJ・CD

品番値条件
1N4007CJ 15pF(代表値)4.0V, 1MHz
UF4007CJ 17pF(代表値)4.0V, 1MHz
1N5819CJ 110pF(代表値)4.0V, 1MHz
1N4148CD 4pF(最大)0V, 1MHz

CJ(接合容量)は“Capacitance due to a pn junction of a diode which decreases with increasing reverse voltage.” — 逆電圧が大きいほど小さくなります。1N4148はCD(ダイオード全体の容量、パッケージを含む)で記載しています。高周波信号・スイッチングではこの容量が小さいほどよく、ショットキーは容量が大きい方です。

9. 熱抵抗・最高温度

品番RθJA(接合部→空気)RθJL(接合部→リード)接合部温度
1N400750℃/W25℃/W−50 ~ +150℃
UF400760℃/W15℃/W−55 ~ +150℃
1N581950℃/W15℃/W−65 ~ +125℃
SS1488℃/W28℃/W−65 ~ +150℃
1N4148350K/W最高175℃
SMAJ15A120℃/W30℃/W−55 ~ +150℃

RθJA 50℃/Wは、1Wを熱として出すとダイオード内部が周囲より50℃高くなるという意味です。この値にも“9.5mmリード・PCB実装・銅パッドの大きさ”のような条件が付いており、基板のパッドを小さく設計するとさらに高温になります。

10. ツェナー・TVS特有の値

ツェナー 1N4742A値意味
VZ12V(公称)IZTで測ったツェナー電圧、許容差±5%(“Standard Zener voltage tolerance is ± 5 %”)
IZT21mAVZを測った試験電流
ZZT最大9ΩIZTでの動作抵抗(小さいほど電圧が安定)
Ptot1300mWリード4mmを周囲温度に保ったとき
IR5µA (9.1V)ツェナー電圧より低いときの漏れ
TVS SMAJ15A値意味
VWM15V常時かかっていてもよい電圧(これ以下ではほとんど流れない)
VBR16.7 ~ 18.5V (1mA)電流が流れ始める電圧
VC最大24.4V(16.4A)サージが入ったときに抑え込む電圧
IPPM16.4A耐えられるサージ電流(10/1000µs波形)
PPPM400Wサージ瞬時電力(10/1000µs)
捺印単方向BM・双方向XMチップ上の文字 — 双方向は品番末尾にCA(“For bidirectional use CA suffix”)

ツェナーはVZをどの電流(IZT)で測ったか、TVSは保護する回路の電圧≤VWMであり、VCが保護する部品の耐電圧より低いかを見ます。SMAJは単方向なら帯がカソード側で、“no marking on bidirectional types” — 双方向は極性の帯がありません。ツェナーの品番別の電圧は、ツェナー電圧コードの記事で別途まとめています。

11. 6種類の比較早見表

値1N4007 整流UF4007 超高速1N5819 ショットキー1N4148 小信号SMAJ15A TVS
パッケージDO-41DO-41DO-41DO-35SMA
VRRM1000V1000V40V100VVWM 15V
IF(AV)1.0A (TA 75℃)1.0A (TA 55℃)1.0A (TL 90℃)150mA-
IFSM30A30A25A2A (1µs)40A
VF最大1.1V1.7V0.600V1V (10mA)3.5V (25A)
IR 25℃5µA10µA1.0mA25nA (20V)1.0µA
trr表になし75ns表になし4 · 8ns-
接合部温度 最高150℃150℃125℃175℃150℃

すべてVishayのデータシートの最大値(容量は代表値)。“-”はその種類に該当しない値、“表になし”はデータシートに項目がない値です。

12. 置き換え時のチェックリスト

  • VRRM — 同等以上に。交流整流ならピーク値(実効値×1.41)以上
  • IF(AV) — 数字だけでなく条件温度(TA・TL)とリード長・パッドまで同じ基準で
  • trr — スイッチング回路なら同じ種類(超高速・ショットキー)以上に。1N4007 → UF4007はたいてい可能だが、逆は不可
  • VF · IR — ショットキーに替えるとVFは下がるが、漏れが大きく増え、最高温度が低い場合がある
  • IFSM — パルス条件(8.3ms半波・1µs・10ms)が同じか
  • パッケージ・熱 — RθJAの条件(パッドの大きさ)とリード・SMDの違い
  • ツェナー・TVS — ツェナーはVZとIZT・許容差、TVSはVWM・VC・単方向/双方向(CA)
品番が見つかったら在庫を確認してください。eGuroの部品検索で、ソウル中央流通団地をはじめとする韓国国内の流通業者の在庫をまとめて見ることができます。

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資料:Vishay 1N4001 (88503, 2020-04-29)・UF4001 (88755, 2020-04-06)・1N5817 (88525, 2020-07-01)・SS12 (88746, 2020-04-23)・1N4148 (81857, Rev. 1.6)・1N4728A (85816, Rev. 2.7)・SMAJ5.0A (88390, 2024-01-09)データシート、アプリケーションノート Fundamentals of Rectifiers (88867)・Physical Explanation (84064)。同じ品番でもメーカーごとに値と条件が異なる場合があるので、実際に使用するメーカーのデータシートで確認してください。

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